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棚田学会
Rice Terrace Research Association

                  棚田学会賞 

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棚田学会賞
第14回石井進記念棚田学会賞(平成29年度)
1.授賞者
(1)河野 豊(愛媛県松山市)

2.業績名及び授賞理由
(1)河野 豊
業績名:故郷の棚田を活写し訴える語り部写真家
授賞理由:河野氏は愛媛県の西部、宇和海を望む西予市の山間地域に生まれ、中学2年生の時に先祖代々住み慣れた茅葺家が罹災する経験をした。その時茫然と立ち尽くすご両親の姿が瞼に焼き付き、故郷から消えゆく茅葺家とそれを取り巻く棚田や里山の風景は、同氏が“形あるものへの思い”を写し残しておきたいと願う被写体となった。
 不便さ、面倒くささ、厄介さを日常としていた先人たちが、家族を守るため地に這いつくばって開墾した棚田や段畑。これらに凝縮された生き抜くための知恵を受け継ぐため、その足跡を活写しておくことが自分の世代の使命であり責務であると信じ、写真を通じて子や孫へ語り継ぎたいと考えた。
 のため河野氏は、2010年9月に松前町で開催した「こころの風景遺産展」を皮切りに、現在に至るまで16回にわたり棚田を主題とした写真展を開催し、延べ9,000名近い来場者に棚田の保全を訴え続けている。来場者からは、「幼い頃を思い出した」「棚田の美しさに見とれた」「この風景を大切にしていこうと感じた」「長年にわたる記録・周知の活動に感動した」「力を与えられた」「何とか子孫に引き継ぎたい」「棚田保全の重要性を知った」「もう一度父母・祖父母と米を作りたい」「歴史と文化を感じた」「故郷が良い処だとつくづく見直した」などの意見・感想が寄せられ、大きな反響を得た。この中には、棚田オーナー募集説明会をかねた写真展も企画され、具体的な棚田保全活動に繋がっている。
 また、長年にわたり繰返し足を運び活写した棚田の姿をまとめ、写真集「棚田−写し出された原風景」を2010年9月に出版した。南予地方をはじめとする四季折々の棚田と、これを耕し守る人々を写し出した一枚一枚の写真には、これを見つめ愛情を注ぐ河野氏の強い思い入れが感じ取られる。加えて、全ての写真に添えられた短文は、現地で河野氏が見聞きし得た感動を共有すべく、読む者の心を揺り動かす。
 このように河野豊氏の長年にわたる活動は、棚田保全に懸ける人並み外れた情熱の結晶として、愛媛県のみならず全国の棚田保全関係者を大いに励ますものであり、その社会的意義は極めて高く、棚田学会の理念とも一致する。よって、棚田学会賞を授賞するに相応しいものと認められる。

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